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水行政と水道事業の「コンセッション契約」(公営施設等運営権制度) [食文化]

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ウォール街では、10年ほど前から、次の有望な投資商品は、「命にかかわるもの」その一つに、水ビジネスが話題となっていましたが、いよいよ日本に上陸です。

今回政府決定の水道事業での「コンセッション方式」がありますが、これは、行政が公共施設などを保有したまま、民間企業が自由裁量で事業運営できる運営権を売却、委託する民営化手法です。

自由裁量とは、「仕上がり」を基本にした「性能発注」のことで、水の作り方などは民間事業者の自由裁量に任され、民間の創意工夫によって業務の効率化が図られると期待される一方で、自治体の監督は難しくなります。

上水道へのコンセッション方式導入は、19年10月施行の水道法の改正に基づき可能となり、即、宮城県では、上下水道事業の運営権を民間に委ねる「コンセッション方式」導入に向けた条例改正案が県議会に提出され、19年12月17日に可決された後は、業者選定を経て、2022年4月に動きだすというロードマップが描かれており、水道コンセッション方式の誕生が年内に決定づけられることになります。

公共インフラ、水道のコンセッションは、契約期間が長い(20年程度)のが特徴です。
そのメリットは、自治体の財政負担が軽くなり、民間の経営は安定するとされています。

しかしデメリットは、企業の利益追求は、長期契約期間における、社員の人件費や諸管理コストの上昇を含め、その価格変化がリスクとなります。

自治体側は、公共サービス意識や管理の質が低下や、それらのノウハウ喪失にリスクがあります。

即ち、20年と言う長期スパンで社会を見たとき、社会や技術などの維持環境の変化に、柔軟に対応できるかという点と、今後どのような変化があるかを正確に予測する必要があります。

その上で重要な点は、公共施設を保有し、長期の保全を含めて、果たして自治体の財政負担が軽くなるかと言うことです。そもそも施設の老朽化に対処する目的で、この改正をしたはずなのに、この点の説明が不鮮明です。

更に、気候変動での水量変動、人口減少によるコスト上昇、IoTやAIなど技術革新などを見込んだ契約ができるのだろうか。

更にまた自治体側は、コンセッション導入から数年は能力のある職員いることで、企業の業務が適正かを監督できるし、災害時には現場で対応することもできるが、コンセッション導入から一定の年月が経過すると、水道事業に精通した職員の減少、IoTやAIなど技術革新の進化、施設環境の変化も進むことで、管理監督する立場にある水道職員の知見不足や災害対応能力の減少が起きる可能性が容易に考えられる。

海外では、パリの20年間のコンセッション契約は、水道の管理監督の低下と価格の約180%の上昇で、再公営化となり、また、ボリビアでは水質汚染が深刻化し、ギリシャやポルトガル、アイルランドなどの国では、管理コストや価格、品質など、各種のリスクが指摘されています。

普通に考えれば、自治体によほどの資金と人材などの維持能力がなければ、水道水の管理は極めて難しことが分かります。

「水道サービスは誰が担うべきなのか?」「水は商品か、人権か?」「民主主義・自治は機能しているのか?」
ヨーロッパにおける人々のこれらの問いは、日本のその課題と直結しています。

水行政は、国民の命に係わることであり、更に水の災害防止を含め、また国の将来を踏まえ、事業コストなどを十分に検討すべきであるが、今回の日本のコンセッション方式導入の水道法改正案は、国民の目をかすめて、たったの7時間の審議で衆議院を通過しました。

専門家が指摘するこれからの水行政は、省エネルギー視点の水道事業を施工することで、このコンセプトは、1)「低・遠」から「高・近」へのシフト、低位置から遠くに、ではなく、高い位置から近くに、2)「水道」から「水点」へのシフト、長い距離の給水から、近くの給水への効率的性の小規模化、3)「水道施設」を「発電施設」へ、取水施設や浄水場の小水力発電を導入し、売電する。

この様な施策を全国の地域で見直し、最適な給電設備計画を施行し、これに最適なコンセッション契約を行うことが必要と考える。

故に今回の改正は、本当に、水行政の多くの重要な政治課題を、また、海外の再公営化への要点を検討熟慮したものなのか、はなはだ疑問とするところです。


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