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脱炭素時代の期待される「夢の燃料」水素。 [環境問題]

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地球温暖化の解消に、様々な対策が必要ですが、その有力な候補に車社会で全CO2の20%を占めると言われるガソリン燃料に変わる水素燃料が脚光を浴びています。

車両の水素燃料は、FCV車両の搭載と供給面から、その収納するスペースを少なくする必要と、燃料自体の体積を小さくすることが必須となります。

また水素燃料は、その可燃性で爆発の危険もあるため、この難点をどう克服するかも課題です。
それらの点で、海外企業より技術で先行する日本勢が優位な状況にあります。

さて、それらの水素燃料を生成する技術的方法には、現在次の技術が使われています。

①水素を超高圧で圧縮す。
水素を気体のまま運ぼうとすれば、入れ物は膨大な容積が必要となるため、実用化に、水素ガスを強い圧力をかけて高密度の状態でボンベに充填した「圧縮水素」を用い、体積を小さくして運びやすくする利点があります。

トヨタ自動車は燃料電池車(FCV)の「ミライ」に超高圧の圧縮水素タンクを搭載する。
その供給網には、超高圧の圧縮機の設備を持つ、水素ステーションの整備を進めています。

但し、圧縮水素は運び易いの利点を持ちますが、水素を詰めたボンベを、カードルと呼ぶ高圧ガス専用の装置に積んで運ぶことから、トラックで運ぶには適しているが、一度に大量に運べないため、輸送費がかさむのが難点がある。

②水素を縮液水素にする。
水素を摂氏マイナス253℃に冷やし体積を800分の1まで縮めることで、圧縮水素より効率的に運ぶことができ、「液化水素」を大型船で運ぶ、大量輸送に優れています。

但し課題は、運搬中に気化損失が出やすいため、1カ月以上の長期貯蔵に不向であり不利となります。

川崎重工業はオーストラリアから日本に水素を運ぶ世界初の液化水素運搬船を開発しており、大型化へ向け改良を重ねていますし、岩谷産業は国内3カ所に液化水素の製造拠点を持ち、国内の液化水素生産量の大半を担う計画をしています。又、産業ガス世界大手の仏エア・リキードの日本法人は、伊藤忠商事と伊藤忠エネクスと提携し、20年代半ばに、中部地方に液化水素プラントを建て、水素供給網づくりを進めています。

③水素をMCH(メチルシクロヘキサン)液体に転換する。(商標:SPERA水素 )、
常温常圧下で、水素とトルエンを結合してメチルシクロヘキサンMCH液体に変え、運搬、貯蔵庫して、脱水素プラントで水素に戻す。

MCHは、気体の水素と比べて体積が500分の1となり、常温常圧で運べる利点と、既存の石油製品のインフラを使え、長期保存もでき、MCHもトルエンも消防法でガソリンと同様に扱えるので、投資を抑えられる大きな利点があります。

代田化工建設と三菱商事、三井物産、日本郵船が連携し、千代田化工がMCH生成プラントから効率的に水素を取り出す技術を開発し略実用化にこぎつけており、現在ブルネイでMCHを生成し、MCHを日本に運んで脱水素プラントで水素とトルエンに分け、水素を利用する。以後、トルエンはブルネイに戻して、再び水素を運ぶ際、再利用する実証実験に成功している。

④水素をアンモニアに変える。
水素を窒素を、常温常圧で反応させてアンモニアにして運ぶ画期的研究が進められています。

IHIや宇部興産、東京ガスなどの共同事業体は、水素をアンモニアに転換して、貯蔵・輸送の手段とする企画に参画し推進しています。

海外では、オーストラリアでは英BPや独シーメンス・エナジー、豪ハイドロゲンユーティリティーなど世界のエネルギー関連企業がこぞってこのアンモニアの量産計画を立てています。

その利点は、輸送方法のなかでは最もコンパクトにして運びやすいこと、直接燃焼できるので火力発電所にも使えること。水素を輸入する際の方法としても向いていることです。

不利な面は、人体に有毒で、悪臭がすること。人が集まる水素ステーション貯蔵のには適さないことで、現時点では工業用途に限られそうです。

⑤水素吸蔵合金法
合金を使用して水素を吸収する技術で、運搬や貯蔵は、「水素吸蔵合金」で行われます。
冷却や加圧すると水素を吸収し、加熱や減圧によって水素を放出する合金を使うことで、利点は、水素を出し入れする際の損失が少ないことです。半面不利は、合金自体が重く、長距離を運ぶには向かないのが難点ことです。

尚政府は、日本の「脱炭素実行計画」の、2050年までの「グリーン成長戦略」で、洋上風力や自動車・蓄電池、住宅など、14成長分野の目標達成として、発電量に占める再エネの割合を50年に約50ー60%とすることを参考値として設定し、水素・アンモニア発電で10%程度、さらに原子力、二酸化炭素(CO2)を回収することを前提とした火力発電で30~40%としています。


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