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海水を淡水化 電力使わず EX-Fusionと東工大が開発 [資源]

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世界に、生活に必要な水を確保できていない人達が、20億人もいると言われる中、海水から、電力を使わずに真水を作る夢の「海水淡水化技術」が、日本で開発されています。

核融合発電を目指すEX-Fusion(エクスフュージョン、大阪府吹田市)と東京工業大学では、電力をほぼ用いずに水を得る新たな技術の実用化を目指しており、日本のこの環境技術が、世界の水不足の解決につながる大きな期待が寄せられています。

この開発は現在「徐々に水の生産量を大きくする実用化へと踏み出せる段階」にきていると、東工大ゼロカーボンエネルギー研究所の近藤正聡准教授やエクスフュージョンは、開発する新技術への手応えを語っています。

この切っ掛けは、核融合炉を冷やすのに必要な液体金属などを研究してきましたが、エジプトから来た留学生が「先ずは、水が必要です」との一言で、海水淡水化への応用研究が始まったと言います。

この程、実験室内の小さな装置で水の生成に成功しましたが、水の量産化に、エクスフュージョンと設置した協働研究拠点に、実証に必要な機材を調達して、25年にも規模を大きくした実証装置を稼働させる計画で、先ずは、冷蔵庫大、コンテナサイズと徐々に拡大し、コンテナサイズでは、1日あたり1立方メートルの真水の生産を見込んでいます。これは、5人が生活に必要なぬ1日の水を確保できる量となります。

開発した基礎技術の最大の特徴は、電力がほぼ不要ということ。この技術は、融点が約230度と比較的低く、熱が伝わりやすい液体金属の錫(すず)を、太陽光で温め、300度ほどまでの熱い液体になったところに、海水を吹き付けて水分を蒸留させて集め、真水を得る仕組みとのことです。

温められた液体の錫は、その後冷えても、太陽熱で再び温めることで循環て使えるので、この新技術は、電力はほぼ必要はない」と、エクスフュージョンの松尾一輝最高経営責任者(CEO)は話しています。

尚、錫が冷える過程での副産物として、海水に含まれるリチウムやマグネシウム、モリブデンなどが固まって出て来ますので、リチウムは、同社が目指すレーザー型核融合炉での、核融合発電の燃料としても活用する考えであり、核融合炉は、液体金属も炉の冷却に必要とされますので、これらの知見を生かせる可能性があると期待されています。

世界では中東などで、20億人が水不足に陥っているとされて、現在既に、海水淡水化が始まっていますが、ただ、現在の逆浸透の原理を生かした淡水化技術は、浸透膜から、こし出して真水をつくり続けるために高い圧力が必要で、その分の電力が必須です。

実用化済みの海水淡水化技術で生成されている水は1日あたり1億立方メートルで、単純計算で、まだ4億人分ほどの量しか賄えなく、ウガンダやインドなどでは、地域によっては水不足が引き金となって、国内総生産(GDP)を押し下げる影響があるという試算も出ています。

この問題、即ち、淡水化装置で量産に必須の電力を大幅に抑えたのは、日本触媒と東洋紡子会社の東洋紡エムシーで、既存の電力供給技術に比べて、その電力消費を従来の3分の1に抑える手法を開発しました。

この技術は、米企業トレビ・システムズとの共同開発で、ハワイに大規模プラントを建設。23年に1日500立方メートルの水を海水からつくる実証に成功したことで、大規模プラントでは、その12倍にあたる1日6000立方メートル規模の水を海水からつくる計画と言います。

プラントには東洋紡エムシーが開発・製造する「FO膜」を用いる。日本触媒が開発した、液状の浸透圧発生剤と組み合わせて使うことで、浸透圧発生剤が溶け込んだ液と、海水の間にFO膜を置くと、海水側から水分子が膜を通って溶液側に集まってくるので、その溶液を加熱すると発生剤と分離して真水のみを得られる仕組みのようです。

日本触媒が発生剤の性能を高めたことで、米社が用いた従来の発生剤とFO膜の場合より造水能力を30%高められ、更に、海水からどの水の回収率は65%となり、既存技術の「RO膜」システムより高い水準を確保しています。

又この開発で、「(大量な電力の確保が難しい)島しょ部などの、現行のROシステムでは経済的に造水が難しい地域で水を届けられる」利点があります。

廃液処理で液体廃棄物ゼロ
只、これらの新技術で淡水の需要に応えていくには、エネルギーの省力化に加えて環境への配慮も必要であるので、海水より水を得た半面、塩分が濃くなった水がそのまま海に戻っては、環境に影響するとの指摘があることからも、日本触媒などのプラントでは、量産化と並行して、残った海水などの廃液の、塩分や不純物が含まれる液を固形物と浄水に分離し、液体廃棄物をゼロにする処理技術の実証も進める方針です。

他方の、エクスフュージョンと東工大の技術では、錫が冷えながら様々な物質が出てくる仕組みが、そのまま工場廃水の浄化などに応用できると見ています。

のでこの仕組みは、インドは地下水が豊富でありながら、ヒ素が含まれることもあり生活には適さず、人口増加も重なって水不足を招いていますので、こうした有害物を取り除くのに使えれば、海水や地下水を有効活用する道が開けると期待されています。


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