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英ロンドン市長選で、初のイスラム教徒市長が誕生 [選挙]

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5日に行われた英ロンドン市長選で、パキスタン移民2世でイスラム教徒の労働党下院議員
サディク・カーン氏(45)が、初めて市長に選出されました。

欧米の相次ぐテロが継続で、反イスラム感情が高まる中での勝利の背景には何があったの
でしょうか。

この選挙は、2期8年務めた保守党のボリス・ジョンソン前市長(51)の後任を決める選挙で
したが、12人の立候補のなかで、上流階級出身の保守党下院議員ザック・ゴールドスミス氏
(41)と、移民家庭から人権派弁護士になったサディク・カーン氏との事実上一騎打ちの勝負
となりました。

英国の大衆紙はその記事に、過激派による2005年のロンドン同時爆破テロで大破した
路線バスの写真を掲載し、「労働党のゴールドスミス氏が勝てば、過激派を正当化する
政党候補に、警察行政や対テロ政策をゆだねることになる」と掲載し、英キャメロン首相も、
「労働党候補に懸念を抱いている」と、カーン氏と過激派との懸念を発信し、カーン氏の
印象は、一般的に不利なものでした。

なお昨年8月の英YouGov社の世論調査では、「イスラム教徒の3人に1人が、ロンドン市長
立候補に不快感を示しており、米大統領選では、共和党の不動産王ドナルド・トランプ氏が
「イスラム教徒の入国禁止」を訴え、候補者指名を確実にするなど、反イスラム感情の高まり
は欧米共通の現象で、その中での選挙に勝利したのです。

カーン氏は最終的に、約131万票を獲得し、対立候補のゴールドスミス氏に約、99万4千票
の大差をつけ圧勝しました。

投票率は46%で、前回12年を8ポイント上回り、その関心の高さを示しています。

では何故カーン氏が勝てたのか。

その背景には、ロンドンという街が培ってきた「多様性」があると言います。
ロンドン市は、従来より旧植民地や欧州連合(EU)加盟国から多くの移民を受け入れてき
ており、11年の国勢調査では、人口817万人(当時)の内、英国籍の白人は約45%で
半数を切り、その他、約37%が英国外生まれで、イスラム教徒は12・4%の100万人以上
の人口を占める多様性の市です。

カーン氏自身も、地元のモスク(イスラム教の礼拝所)に通い、戒律に従って酒は飲まない
一方、イスラム教が認めない同性婚を支持するリベラルさを併せ持ちます。カーン氏は
英誌に、「私たちはみんな、複合的なアイデンティティーを持ち、イスラム信仰も、私の一面に
すぎない」、「私はロンドン市民で英国人で、イングランド人、パキスタン系アジア人、父親で
夫。(サッカークラブの)リバプールファン、労働党員、そしてイスラム教徒だ」とそんなロンド
ン人の多様性の存在であると語っています。

そして当選後にカーン氏は、「市民が恐怖より希望を、分断より団結を選んだことを誇りに
思う」と語っています。

この勝利の背景には、色々の要素が考えられますが、報道によりますと、ロンドンでは
伝統的に労働党が強いことや、庶民目線の行政手腕が期待された面もあること。

 保守党陣営の戦術は、党内からも「市民の分断をあおる」と批判が噴出して、ゴールド
スミス氏の支持離れを招いたこと。 

また、ロンドン大学経済政治学院のトニー・トラバース教授(政治学)は「マイノリティー出身
の市長を嫌ってカーン氏に投票しなかった人がいた一方で、ロンドンが民族や信仰に寛容
な都市である象徴として、あえて投票した人もいたのではないか。ロンドン市民もテロを
懸念しているが、市長を選ぶ判断には影響しなかったということだろう」と分析しています。

日本に住んで十数年になるインド系英国人のヴィアス・ウツパル立命館アジア太平洋大学
准教授(国際政治学)は、「移民2世の若者の良い手本となり、外国にルーツを持つ英国人
が政財界の要職につく流れを後押しするだろう」と指摘し、今回の選挙を日本に置き換える
と「移民2世の東京都知事が誕生するようなものだ」と語っています。

ヴィアス氏は、「日本では社会の多様性を深めることは、歓迎も推進もされていないし、今は
女性議員を増やすことの方が優先順位が高く、民族・宗教的マイノリティーの日本人が地方
政界のリーダーとして活躍するのは、まだまだ先だろう」と論評しています。


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