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日本は世界に誇る老舗企業大国 その共通点は? [テクノロジー]

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日本には創業100年越えの老舗企業が10万社を数えると言います。

その中には驚くことに、創業1,400年の建築会社「金剛組」や、北陸の創業1,300年という旅館、京都の1,200年以上の和菓子屋など、1,000年以上の老舗企業も少なくないと言います。

『千年、働いてきました』の著者・野村進氏は、「商人のアジア」と「職人のアジア」という概念を提唱して、日本の老舗企業の経営の知恵とそれを支える職人の技術について、次のように紹介しています。

アジアの億万長者ベスト100のうちの、半分強が華僑を含む中国系企業であすが、その中は、創業者1代か2代で築いた「成り上がり企業」で、100年以上続いている企業は一社もなく、韓国では三代続く店がないと言われ、ヨーロッパでは、200年以上の会社のみ入会が許される「エノキアン協会」の最古のメンバーは、1369年に設立されたイタリアの金細工メーカーのみ、また、中国の「世界最大の漢方薬メーカー」北京同仁堂は創業340年ほどで、その他は、中国茶、書道用具など100年以上の老舗が何軒かある程度で、これらからも、日本の企業は、個人商店や小企業を含め、その企業規模は小規模ですが、100年以上の老舗企業が10万社以上もあるのは、本当に驚くべきことであり、我が国は、世界で群を抜く「老舗企業大国」であると言えます。

ではなぜ日本には100年以上の老舗が10万社も多く残っているのか?

著者の分析に、老舗企業の内の4万5,000社ほどが製造業であり、その中は、伝統的な工芸品分野ばかりでなく、携帯電話やコンピュータなどの情報技術分野や、バイオテクノロジーなど、古い技術から先端技術分野まで広く存続し今なお活躍しているのです。

そんな企業の一つが東京の田中貴金属工業で、明治18(1885)年に東京の日本橋で両替商「田中商店」として出発し、明治22(1889)年には、白金の工業製品としての国産化に成功し、それ以来、貴金属の売買と加工を二本柱として経営を続け、現在の代表製品の一つが金の極細線で、その最も細いものが直径0.01ミリ、髪の毛の1/8ほどの細さのものが作られ、それは、携帯電話の振動や、車のミラーを動かす、4ミリほどの超小型モーターブラシの極細線に使われています。

金の極細線は、錆びないこと、熱や薬品にも強いこと、そして導電性も高い特徴から、純金1g(1/20cm³)は、薄く長く伸ばすことで、太さ0.05ミリの線の3,000メートルにもなります。

田中貴金属工業は、そうした貴金属の特長を、長年磨いてきた加工技術で引き出して、今や世界中で使われる金の極細線の大半を供給しているのです。

「商人」は、創業者の才覚一つで億万長者に急成長できるますが、そこには事業を支える独自技術がない場合、創業者の代替わりで、即没落することになります。

180年の社歴を持つ古来木ロウ技術の「株式会社セラリカNODA」は、ロウソクや鬢(びん)付け油(鬢(びん)付け油は歌舞伎役者の化粧の下地です)を製造し、ポマードを経て、現在は、コピー機のトナーの添加剤に活用されています。

野村進氏は、日本の現代社会で、老舗企業が逞しく生き抜いている共通点について、次の三点を挙げています。

第一に、箔粉技術や醸造・発酵技術など、伝統技術を現代社会の必要とする新しい製品に生かしている点に。

第二に、革新といっても、自分の本業の技術からは離れていない点。

第三は、「金箔は生きている」「自然に生かされている」の、大自然の「生きとし生けるもの」の不思議な力を引き出し、それを「生かす発想」で革新的な製品開発につなげている点です。

世界に誇る老舗企業大国の日本は、これらの老舗企業が保つ経営の智慧を、国家全体で生かしていくことで、わが国は老舗職人大国として末永く幸福にやっていくことができるであろう。と提言しています。



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