飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に常識の亀裂 [脂肪酸]
脂肪は生活習慣病の大きな関心事ですが、一般常識では、動物肉の脂は、肥満や
生活習慣病の元になると言われており、何かと評判が悪いようです。
しかし、欧米人に比べて肉を食べる量が少ない日本人では、肉の脂が足りないと
むしろ健康に悪いという調査結果もあります。
筑波大などが一昨年の研究調査で、動物の脂に多く含まれる「飽和脂肪酸」を
食べる量が多い人ほど脳卒中になる危険が低い。そんな調査結果を発表しました。
又、岩手や沖縄など8県の約8万2千人を平均11年間追跡調査。肉やバター
などの食事量から飽和脂肪酸の摂取量を推定し、脳や心臓の血管に関わる病気
「循環器病」の発生率を調べる為に、飽和脂肪酸摂取量全体を5群に分けての
調査で、1日あたり最も多い21・6―96・7グラムの群とも最も少ない
0・8―11・7グラムの群を比べた結果、その最も多い群の脳卒中の発生率が
23%少なかったと公表しています。
しかし、心筋梗塞(こうそく)は、逆に摂取量のもっとも多い群が最も少ない群
より39%発生率が多かった。日本人は欧米などに比べ、脳卒中の発生率が多く、
心筋梗塞は非常に少ない。そのため、これらを含む循環器病全体では、飽和脂肪
酸の摂取量が多い方が発生率が18%少ない結果でした。
調査をした筑波大の山岸良匡講師は「飽和脂肪酸は、欧米人に多い心臓や脳の
太い血管がつまる病気は増やすが、日本人に多い脳の細かい血管が出血したり、
つまったりする病気を減らすのではないか」とみています。
日本人で飽和脂肪酸の摂取量がもっとも多かった群でも米国人の調査で最も
少なかった群よりかなり少なめ。日本人と欧米人の中間ぐらいに丁度いい量
があるとも考えられるとして、1日平均で20グラム前後の摂取を勧めています。
約150グラムの肉を2日に1回と、毎日コップ1杯(200グラム)の牛乳を
合わせた程度の量だそうです。
脂肪酸は油脂の主成分で、飽和脂肪酸が多い固体のものを「脂」と、不飽和脂肪
酸の多い液体のものを「油」とに区別することもありますが、油脂と、その原料
である脂肪酸などの総称が脂質となります。
過去に、いろいろな油の健康ブームがあり結果、「リノール酸の多いサラダ油や
ゴマ油が健康にいい」、「オレイン酸の多いオリーブオイルがダイエットに効く」、
「魚に多いDHA、EPA」は動脈硬化を防ぐ」など、不飽和脂肪酸は「善玉」で、
その裏で肉の脂や飽和脂肪酸は常に「悪役」が常識となっています。
しかし、リノール酸などn―6系不飽和脂肪酸は血栓の原因になるという動物実験も
あり、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸も心臓病の危険を減らすという研究と、
逆に、増やすという研究があり、明確な結論は出ていません。
奥山治美・名古屋市立大名誉教授(脂質栄養生化学)は「動物実験などで特に問題の
出ていない油脂を使うのがいい」と言います。
教授は、バター、ラードなどの他、植物性ならアマニ油、エゴマ油などを勧めています。
ただし、先記のオレイン酸のダイエットの研究もあるが、余計に摂ってやせる油はない。
摂り過ぎて肥満にならないことが重要だと警告しています。
この様に、脂質の摂取は、従来の脂肪酸の善悪の常識から、脂肪酸は「飽和・不飽和」
共に必要と言う、前記結果からの決論が、これからの常識となりそうです。
生活習慣病の元になると言われており、何かと評判が悪いようです。
しかし、欧米人に比べて肉を食べる量が少ない日本人では、肉の脂が足りないと
むしろ健康に悪いという調査結果もあります。
筑波大などが一昨年の研究調査で、動物の脂に多く含まれる「飽和脂肪酸」を
食べる量が多い人ほど脳卒中になる危険が低い。そんな調査結果を発表しました。
又、岩手や沖縄など8県の約8万2千人を平均11年間追跡調査。肉やバター
などの食事量から飽和脂肪酸の摂取量を推定し、脳や心臓の血管に関わる病気
「循環器病」の発生率を調べる為に、飽和脂肪酸摂取量全体を5群に分けての
調査で、1日あたり最も多い21・6―96・7グラムの群とも最も少ない
0・8―11・7グラムの群を比べた結果、その最も多い群の脳卒中の発生率が
23%少なかったと公表しています。
しかし、心筋梗塞(こうそく)は、逆に摂取量のもっとも多い群が最も少ない群
より39%発生率が多かった。日本人は欧米などに比べ、脳卒中の発生率が多く、
心筋梗塞は非常に少ない。そのため、これらを含む循環器病全体では、飽和脂肪
酸の摂取量が多い方が発生率が18%少ない結果でした。
調査をした筑波大の山岸良匡講師は「飽和脂肪酸は、欧米人に多い心臓や脳の
太い血管がつまる病気は増やすが、日本人に多い脳の細かい血管が出血したり、
つまったりする病気を減らすのではないか」とみています。
日本人で飽和脂肪酸の摂取量がもっとも多かった群でも米国人の調査で最も
少なかった群よりかなり少なめ。日本人と欧米人の中間ぐらいに丁度いい量
があるとも考えられるとして、1日平均で20グラム前後の摂取を勧めています。
約150グラムの肉を2日に1回と、毎日コップ1杯(200グラム)の牛乳を
合わせた程度の量だそうです。
脂肪酸は油脂の主成分で、飽和脂肪酸が多い固体のものを「脂」と、不飽和脂肪
酸の多い液体のものを「油」とに区別することもありますが、油脂と、その原料
である脂肪酸などの総称が脂質となります。
過去に、いろいろな油の健康ブームがあり結果、「リノール酸の多いサラダ油や
ゴマ油が健康にいい」、「オレイン酸の多いオリーブオイルがダイエットに効く」、
「魚に多いDHA、EPA」は動脈硬化を防ぐ」など、不飽和脂肪酸は「善玉」で、
その裏で肉の脂や飽和脂肪酸は常に「悪役」が常識となっています。
しかし、リノール酸などn―6系不飽和脂肪酸は血栓の原因になるという動物実験も
あり、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸も心臓病の危険を減らすという研究と、
逆に、増やすという研究があり、明確な結論は出ていません。
奥山治美・名古屋市立大名誉教授(脂質栄養生化学)は「動物実験などで特に問題の
出ていない油脂を使うのがいい」と言います。
教授は、バター、ラードなどの他、植物性ならアマニ油、エゴマ油などを勧めています。
ただし、先記のオレイン酸のダイエットの研究もあるが、余計に摂ってやせる油はない。
摂り過ぎて肥満にならないことが重要だと警告しています。
この様に、脂質の摂取は、従来の脂肪酸の善悪の常識から、脂肪酸は「飽和・不飽和」
共に必要と言う、前記結果からの決論が、これからの常識となりそうです。
トランス脂肪酸 遂にアメリカで食品使用禁止 [脂肪酸]
トランス脂肪酸の、米国食品への添加が禁止になりました。
日本でも十数年年前に一時問題となりました、トランス脂肪酸ですが、アメリカの
食品医薬局(FDA)が2013年よりその安全性を調査していましたが、「安全とは認め
られない」として、2018年6月以降、食品添加を原則禁止とすることを、6月16日に
発表しました。
尚、米国で需要の多いピザやケーキについては、3年の猶予期間を設けるとして
います。
さて、このトランス脂肪酸ですが、天然のものと、油脂の加工精製で出来るもの
の2種があります。
天然のものに、牛肉や羊肉、乳製品に微量のトランス脂肪酸が含まれています。
加工精製のものは、サラダ油などの植物油を精製する過程の高温処理で生成され、
これらに微量に含まれます。
又、この油を原料とする、マーガリンやショートニング、パンやケーキ、ポテト
チップスなどに含まれています。
脂肪には、その融点が高い飽和脂肪酸と、体温の融点内融点の不飽和脂肪酸があり
ますが、この不飽和脂肪酸の構造的に、天然のものの、炭素の二重結合に、水素が
同じ側の対象端に結合している、「Cis型」と呼ばれるものと、その二重結合の
炭素に、水素が、水素や加熱加工精製で変化して、その対角線端に結合する構造の
「トランス型」の二種があります。
トランス脂肪酸は、その摂取量が過剰となりますと、血液中のLDL(悪玉コレステロール)
が増えて、HDL(善玉コレステロール)を減らしますので、動脈硬化症から、心臓疾患を
引き起こすリスクがあると言われ、これが今回の「トランス型」加工食品販売の禁止
となった要因です。
日本でのそれは、欧米に比べて乳製品の摂取量が少なく、又、WHO(世界保健機構)で
のカロリー摂取基準の【1%/1日のカロリー摂取量】内に入る(農水省は0.92~0.96)と
して検討中で、その表示の制度化もその段階に在ります。
尚、他の専門機関の研究では、飽和脂肪酸の減少が、逆に、女性の場合に、がんの
発症率や心臓疾患のリスクが高まるとするデータがあり、又、このトランス脂肪酸の
測定法も確立されていない状況にあり、トランス脂肪酸の決定的な「悪玉論」には
疑問があります。
これらから、行き過ぎたカロリー削減説も問題ありと言うところです。
不飽和脂肪酸は、医学的保健上からも、「Cis型」の、リノール酸(n6系)とα-リノレン酸
(n3系)は、食事から摂る「必須脂肪酸」に指定されています。
日本でも十数年年前に一時問題となりました、トランス脂肪酸ですが、アメリカの
食品医薬局(FDA)が2013年よりその安全性を調査していましたが、「安全とは認め
られない」として、2018年6月以降、食品添加を原則禁止とすることを、6月16日に
発表しました。
尚、米国で需要の多いピザやケーキについては、3年の猶予期間を設けるとして
います。
さて、このトランス脂肪酸ですが、天然のものと、油脂の加工精製で出来るもの
の2種があります。
天然のものに、牛肉や羊肉、乳製品に微量のトランス脂肪酸が含まれています。
加工精製のものは、サラダ油などの植物油を精製する過程の高温処理で生成され、
これらに微量に含まれます。
又、この油を原料とする、マーガリンやショートニング、パンやケーキ、ポテト
チップスなどに含まれています。
脂肪には、その融点が高い飽和脂肪酸と、体温の融点内融点の不飽和脂肪酸があり
ますが、この不飽和脂肪酸の構造的に、天然のものの、炭素の二重結合に、水素が
同じ側の対象端に結合している、「Cis型」と呼ばれるものと、その二重結合の
炭素に、水素が、水素や加熱加工精製で変化して、その対角線端に結合する構造の
「トランス型」の二種があります。
トランス脂肪酸は、その摂取量が過剰となりますと、血液中のLDL(悪玉コレステロール)
が増えて、HDL(善玉コレステロール)を減らしますので、動脈硬化症から、心臓疾患を
引き起こすリスクがあると言われ、これが今回の「トランス型」加工食品販売の禁止
となった要因です。
日本でのそれは、欧米に比べて乳製品の摂取量が少なく、又、WHO(世界保健機構)で
のカロリー摂取基準の【1%/1日のカロリー摂取量】内に入る(農水省は0.92~0.96)と
して検討中で、その表示の制度化もその段階に在ります。
尚、他の専門機関の研究では、飽和脂肪酸の減少が、逆に、女性の場合に、がんの
発症率や心臓疾患のリスクが高まるとするデータがあり、又、このトランス脂肪酸の
測定法も確立されていない状況にあり、トランス脂肪酸の決定的な「悪玉論」には
疑問があります。
これらから、行き過ぎたカロリー削減説も問題ありと言うところです。
不飽和脂肪酸は、医学的保健上からも、「Cis型」の、リノール酸(n6系)とα-リノレン酸
(n3系)は、食事から摂る「必須脂肪酸」に指定されています。